究極のセールスレターの著者、ダン・S・ケネディーとは
ダン・S・ケネディーとは、ダイレクトレスポンスマーケティング業界で40年のキャリアを持つマーケティングコンサルタント。ポーターやコトラーのようなアカデミックの人ではなく、自身でセールスコピーを書き続けてきた実務の人。
有名大学の学位を持っているわけではなく、ダン・ケネディーは高校卒業後、広告やセールスの正式な訓練を受けず、弟子入りすることもなく、19歳の頃に広告業をはじめています。
彼は「究極のセールスレター」の中で、セールスレターを書く才能は誰にでもあると書いています。
理由は2つ
- あなたのビジネス・商品・サービス・顧客について誰よりも知っているのはあなただから
- (広告業の経験がない)自分でも書けたから
第1章の冒頭で、努力をすれば誰でもいいセールスレターが書けるようになるという旨の内容を書いており、そのために何が必要なのか、本文で具体的に伝えています。
著者自体が特別な学歴・職歴を持っていたわけではないため、ノウハウの再現性に期待できそうな印象を受けます。
本の内容は超具体的だったので、業界や媒体が違っていても確かに汎用性がありそうだなと感じました。
究極のセールスレターはどんな本?
DMのセールスライティングのノウハウ本。特に、以下の点に関する文量が多い印象。
- 事前準備(ターゲティング・USPの発見)をどのように行うか?
- 執筆・推敲をどのように行うか?
- 汎用性が高いセールスツールとしていかにセールスレターを使うか?
セールスレターを作成する流れにしたがって執筆されているので、これからセールスレターを作成しようとしている人にとっては役に立つと思います。実務向きですね。
究極のセールスレターの見所3つ
究極のセールスレターを読み、特に印象的だった箇所を3つお伝えします。
セールスレターを書く前の準備にも触れている
文章の書き方について説明している本は多いですが、書く前の準備について触れている本は無いとは言いませんが少ない印象。
この事前準備の内容がターゲットマーケティングに関わる人にとっては参考になる内容だと思いました。
セールスレターを書く前の準備は…
- 顧客について知る
- 商品・サービスについて知る
これだけだと一見当たり前のことを言っているように思います。この2点が実行できていれば、究極のセールスレターを読む必要はないかもしれません。
だた、以下のような悩みを持った方も多いはず。
- 見込み客を理解する効果的な方法はないのか?
- どうすれば商品の良さをわかってもらえるのか?
- 見落としている潜在ニーズはないか?
本書には、「マーケット分析とプロファイリングの鋭い質問10」というチェックリストがついており、以下のような質問が10個リスト化されています。
例
- お客が抱えている夜も眠れないくらい心配な消化不良の問題は何か?
- お客は何に不安を感じているか?
※残り8 つは本を参照。
ちょっと試しに①の質問の答えを考えてみてください。
かなりエッジの効いた質問ですよね(笑)。
顧客の分析をする際は上記のような質問を自分に対して投げかけることが多く、質問の種類が多いほど、顧客を多面的に理解し、セールスの仮説を立てやすくなります。
質問をすることで物事を見る角度が変わります。
見込み客に刺さる訴求を見つける手段があと8つ手に入る点が筆者にとっては推せるポイントですね。
質問の答えを考えるだけで、ユーザーの悩みへの理解を深堀できる点がシンプルでいい感じです。
下手にペルソナ設定をするぐらいなら、鋭い質問10に答えた方が顧客に刺さるポイントを整理できるように思います。
セールスレターを書く手順が具体的、仕事の仕方を真似しやすい
本文の8~9割程度がセールスレターを書く手順に割かれていました。実務ではどうやってセールスレターを書いているのか、業務の内容や手順を伝えることに力を入れている印象です。
中でも、セールスレター作成後のチェックの仕方については非常にきめ細かく、文章を推敲する際にどこに注目するべきなのか、視座が広がります。
一部を抜粋すると…
- 戦略的観点で書き直す
- 文体を書き直す
- グラフィック処理をする
- 感情を込めて書き直し冷静に編集する
文章を確認する際は、何を基準に修正するのか明確でないと、直しようがありません。推敲をする際に注目するべきポイントが具体的に書いてある点は、特に価値があるように思います。
この書評では、本の特徴を説明することに力を入れているためあまり言及していませんが、見込み客の購買意欲を掻き立てるテクニックも存分に書かれています。この辺の内容は本の中でもメインの部分だと思うので、ここでは多くを語りません。
販売後のフォローにまで言及
いかにしてモノを売るか、というのがコピーライティング本の趣旨かと思います。ただ、売る力だけが高くなると、購入後のユーザーからクレームや悪い口コミをもらうことが多くなります。
ネット社会では悪評が拡散しやすいので、商品を売った後のアフターフォローについても考えたいところです。
究極のセールスレターには、本の後ろの方に、購入後の後悔を防止するセールスレターの例が載っています。文量は多くないですが、購入後の人に送付するセールスレターはあまり見かけません。フォローの仕方を考える際の参考になります。
究極のセールスレターをおすすめできる人
本書の内容を踏まえると、購入をおすすめできるのは以下のような方です。
- セールスレターを書く際の業務とそのフローを詳細に知りたい方
- 顧客への洞察を深めたい方
- 長いコピーを書く予定の方
- 自分の商品・サービスを持っている、非マーケターの方
セールスレターを書く手順についてページを割いている本なので、業務でDMを作成している方にはぴったりです。媒体は異なりますが、LPを作成する人にとっても、業務フローの共通点が多いため、参考になるかと思います。
一番相性が良さそうなのは自分の商品・サービスを持っている、非マーケターの方。このような方たちは、自身の顧客や商品について、プロのコピーライターよりも深く理解しています。
そんな人がコピーライティングの技法を覚えれば、誰も勝てません。
一方、言い回しのバリエーションを増やしたい人などは、売れるコピーライティング単語帖 探しているフレーズが必ず見つかる言葉のアイデア2000のような本の方が要望にあっているかと思います。
Web業界の人は、別の本を選ぶ選択肢もあるように思います。
まとめ
ちなみに筆者はWebの人ですが、Web系の業務と直接関係ない内容も2~3割程度ありました。ただ、「ステップ5 目を止めてもらう」の内容はWebでいうとCTR改善業務に雰囲気が近く、応用が効くように思いました。
Web界隈の方は、理由がなければWebのコピーライティング本から読みはじめるのがいいかもしれませんね。
繰り返しになりますが、筆者的には「マーケット分析とプロファイリングの鋭い質問10」というチェックリストが手に入った時点で満足です。ネタバレになるので深くは触れませんでしたが、このようなチェックリストや用例がいくつか収録されているので、仕事でコピーを考える人には使いやすいかと思います。
【ご紹介した本】