【42tokyo】社会人・未経験でpiscineに合格したので事前対策を全て公開します

人生における最大の喜びは、「お前には無理だ」と言われたことをやってのけることだ。

ウォルター・バジョット

先日、合格率4%(2021年6月21日時点)といわれる42tokyo/piscineを社会人・未経験で受験し、無事合格をいただきました。

【経緯】

それは私がpiscineを受験する前のことです。

『piscine 社会人 未経験』でググると、「きびしい」「つらい」「フルコミット前提」のような悲観的な情報ばかりがヒットしました。

 

「よろしい、ならば私が例外となろう」

 

ということで、徹底的に対策をし、試験に挑んだ次第です。

とはいえ試験前・試験中に苦しい思いをしたのは事実でして

この記事では、社会人・未経験者が結果を出すための事前対策を試験のネタバレなしでご紹介します。

これからpiscineを受ける方がいい経験・いい結果を得られることを祈っています。

【試験前の筆者のステータス】

  • 個人事業主(フルコミット不可)
  • プログラミングほぼ未経験(仕事でフロントの簡単な改修をすることはあるが、正直難易度・必要知識が全然違う)
  • ネット上のコードをコピペ&&少し編集して動かせるが、コードを0からかけなかった
  • 事前対策を始めたのは参加の約1ヶ月前。概算100時間くらい(厳密に測ってません)。

piscineにおける社会人・未経験者の基本戦略4つ

勝つ軍は、開戦前に勝利を得て、それから戦争をする。敗ける軍はまず戦争を始めてからあとで勝利を求める。

孫氏 形篇

具体的な試験対策(戦術)をご紹介する前に、基本的な方針(戦略)をお伝えします。

  1. 試験前にできること・試験中にしかできないことを切り分けるべし
  2. とりあえず最後まで泳ぐべし
  3. すべて自分でやろうとするなかれ
  4. パイオニアではなく2番手であれ

試験前にできること・試験中にしかできないことを切り分けるべし

試験前はいろいろやりたくなると思うのですが、社会人は時間が限られているので優先順位をつけて対策するのがアンパイかと思います。

私は、試験前にできることだけに焦点をあて、認識できる範囲ですべての対策を終わらせて試験に挑みました(環境構築とか、C言語の基礎学習とか)。

一方、試験の内容や課題の進め方などは、基本的に非公開であるため、piscine開始後に対策をすることになります。

対策するか迷った時は、『試験前にできるか・試験中にしかできないか』を考え、前者は実行、後者は思い切って捨てると時間を工面できます。

【意思決定速度を爆速にしたい方におすすめの本】

エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする

自分の答えのつくりかた―INDEPENDENT MIND

SIMPLE RULES 「仕事が速い人」はここまでシンプルに考える

とりあえず最後まで泳ぐべし

たったひとつの敗北を、決定的な敗北と勘違いしてはいけない。

スコット・フィッツジェラルド

Piscine中は作業が予想通りに進まないことなど日常茶飯事。この時に、まわりから遅れてしまったと考えて投げ出してしまうのはもったいないことです。

たった1日うまくいかなくて投げ出せば受かるのは難しいでしょうが、這いつくばってでも最後まで進めばワンチャンあるかもしれないですからね。

私の場合は、とりあえず最後まで泳ぐという部分だけは固定しておいて、進捗が遅れた分についてはリカバリーをするための合理的な対策(ここだいじ)をしていきました。

すべて自分でやろうとするなかれ

自分の頭で考えないと頭打ちがすぐくるのはもっともです。が、未経験分野のタスクに挑む際にすべてを自分で対策しようとすると、時間のロスがとんでもないことになります。

『このタスクは人に聞けばすぐ解決するか?』という問いに対し、YESの場合は人に聞く、NOの場合はとりあえずやってみる、というアクションをとると時間を節約できます。

幸いピアラーニング環境なので、上記の動きをしても白い目ではみられません。質問の仕方にもよりますが。

助けを乞うことに遠慮してしまう方は、人に頼む技術 コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学などを読んで人と助け合うための技術を身につけるのもいいかもしれません。

また、仲間ができると教え合いができるだけではなく、精神的な支えにもなると思います。自分以外にも戦っている人がいると思うと気の持ちようもかわってくるのではないでしょうか。

パイオニアではなく2番手であれ

巨人の肩に乗りましょう。

ちょっと企業の競争戦略の話をさせてください。

ビジネスの世界では、パイオニアやイノベーターばかりが注目され、模倣者(2番手企業)にはスポットライトがなかなかあたりません。

ただ、模倣者の場合、市場の開拓・認知の拡大などをしなくてもいいため、パイオニアが投じたコストの60~75%程度で済みます。コスト優位性と不確実性のリスク逓減を考えるなら、パイオニアであることは必ずしも最善手とはいえません。

参照:コピーキャット―模倣者こそがイノベーションを起こす

社会人未経験で合格しようとしているのですから、手段など選んでいられません。

みんながわからない難問があったら、誰かが解くのを待ちましょう。

最先端を走るのは、すでにご経験がある方や、生産性が超絶高い方のように思います。

自分も貢献しようという気概は大切ですが、努力してもできることとできないことがあると思います。

無理めな時は素直に人に甘えてもいいのではないでしょうか。

自分の実力を鑑みて、確実に解ける問題を確実に解くのが、piscineに限らずテスト対策のセオリーかと思います。

 

【42tokyo】piscine対策① 環境構築

ここからは、具体的な事前対策(戦術)の話をしていきます。

試験前にできることその1、環境構築についてです。

  1. リアルでの環境構築
  2. PC上での環境構築

リアルでの環境構築

利害関係者との合意形成

雇用されている場合は雇い主に、そうでない場合は取引先やお客さんに話をつけましょう。個人の生産性にもよるのですが、ここでpiscineに使える時間を最大化できるかどうかに合否がかかっていると思います。

私の場合は平日の午前中と土日はpiscineに、平日の午後は仕事に使う感じで調整しました。

コミット時間は…

平日:6~10時間

休日:終日

生産性に自信のある方、経験がある方はもっと少ない時間でも大丈夫かもしれません。

生活習慣の固定・学習習慣の形成(超重要)

結構これでかいです。本番前のオリンピック選手が現地時刻に体内時計を合わせるように、Piscineに備えて生活習慣を整えましょう。

私の場合は、Piscineの1ヶ月以上前から、21時に寝て5時に起きる生活をしていました。この時間にした理由は、私の場合は午前中の生産性が最も高いためです。集中力のホットスポットを特定し、そこを主軸に活動時間を決めるといいかもです。

上記が重要な理由は、急に生活環境が変わると拒絶反応が出るためです。

例えば筋トレをしようと思っても、いきなり120kgのバーベルを持ち上げようとすると怪我をするのは火を見るよりも明らか。軽い負荷からはじめて、徐々に負荷を増やすべきです。

しかし話が勉強になると、なぜかみんなこのことを忘れ、実力以上の目標を設定しがち。

私は5時に起きに加え、昼までプログラミングの勉強をする生活を続けていました。

単にC言語を学ぶのではなく、学習習慣を形成する狙いがあります。

これをやっていないと、最初の3日はプログラミングを頑張れても、拒絶反応がでて勉強したくなくなる恐れがあります。

これが初心者がpiscineで溺れる原因ではないかと考えます。

普段全くコードを書いたことない状態から、毎日何時間もコードを書き続けようというのは、水につかったこともないのに、流れるプールで泳ぐようなものです。

PC上での環境構築

PiscineはC言語の試験なので、C言語を動かせる環境を作っておきましょう(Piscineが始まってからやるのは非効率)。

エディターは好きなものでいいかと思いますが、MicrosoftのVisual Studio Codeなど、安心感があっていいと思います。

【42tokyo】piscine対策② 情報収集

次、Piscine前に行った情報収集の方向性についてです。

  1. 採点基準・合否の基準(確率)は調べてもあまり意味はない
  2. 主なリサーチの対象は試験内容
  3. Piscine用Twitterアカウントを作ると本科生や受験生と繋がれる
  4. 合格基準に関する情報収集はどこかで適当に切り上げる

採点基準・合否の基準(確率)は調べてもあまり意味はない

人は不安を覚えると周辺環境の探索や情報収集を始めます。(参照:ネガティブ感情が成功を呼ぶ)この反応はリサーチによって答えが確実にわかる場合には安心感をもたらしますが、答えがわからない問題の場合は、終わりなき不安の無限ループに突入するのがオチです。

詳しくは言えないのですが、picsineに参加すると、評価基準と思われるデータがいくつか開示されます。

ただ、普段からデータを扱っている人間としては、合否と相関の高いデータをすべて開示するはずないだろうと予想します。開示されている情報は参照しつつも、採点基準や合否といったブラックボックス化している情報の収集については、時間をさきすぎない方がいいと考えます(結局行動しないことには受かるものも受からない)。

主なリサーチの対象は試験内容

こちらも限度はあるのですが、ざっくりとした試験の内容や様子についてはある程度ググればでてくるので、必要に応じて調べて対策するのは健全かと思います。

日本語である程度調べたら、英語のサイトも見るといいでしょう。あまり多くは語れないのですが、日本語のページとは正直情報量が違います。

Piscine用Twitterアカウントを作ると本科生や受験生と繋がれる

普段SNSをやらないので完全に盲点だったのだが、時を巻き戻せるのであればやっておきたかった項目。

TwitterにはこれからPiscineを受ける人や42の本科生がちらほらいるので、情報が限られる環境下ではgoogleに引け劣らない情報収集先と考えます。

Twitter登録後、『42Tokyo』『Piscine』で検索すると、本科生やピシナーズと繋がれるかと思います。

Twitter登録▶︎アカウント作成

筆者の42用Twitter▶︎@Pischi_Rockstar

合格基準に関する情報収集はどこかで適当に切り上げる

情報収集はやろうと思えば無限にできますが、正直piscineについては都市伝説に近い情報も多い印象です。

私の場合は、情報収集の目的を事前学習の方向性を決めるため、と定義し、7割型満足できたら情報収集をやめてC言語の学習に移行しました。

【42tokyo】piscine対策③ C言語対策

【前置】1つの教材を何週もするか?いろんな教材を試すか?問題への見解

プログラミングを独学する際は、次の2パターンがありえると思います。

  1. 1つの教材を何週もやる
  2. 複数の教材を試す

個人的には2の方がいいと思っています。

理由は

  1. 同じ概念の説明でも著者によって書き方がかなり違う。理解できない概念があっても別の教材を読めば理解できることがある(ポインタとか)
  2. 多用練習の方が応用力がつくから(同じことをいろんなパターンで試すこと)
  3. 課題内容が不明かつ過去問がないため、1つの教材に絞るのはリスクしかない

【参考書籍】

使える脳の鍛え方 成功する学習の科学

脳が認める勉強法

特に2についてですが、サイト・本・音声教材には以下のような差異があると思います。

サイト(Kindle)のメリット

  • コピペができる(本だとめんどい)
  • 本みたいにPC→本へと目線を移す手間がかからない
  • ブックマークバーにフォルダをつくって整理して保存できる

本(Kindle)のメリット

  • 情報が整理されている
  • 説明が丁寧
  • 移動中も見やすい
  • 書き込み・メモがしやすい

動画・音声のメリット

  • 視覚情報に加え音声情報によって学習できる
  • 集中力が途切れたに何となく流すだけでそこそこ記憶に残る
  • 作図や動きがあるので、必要な概念をイメージしやすいことがある

媒体によって上記のような差異があるので、いろいろなものを試してご自身にフィットする学習法を見つけると効率がいいのではないでしょうか。

「どの教材で勉強すればいいのか?」という疑問があるかもしれないので、以下で私が使ったおすすめの教材、他の合格者からの評判がよかった教材をご紹介します。

C言語初学者に便利なサイト・動画・音声・本(Kindle)

新しい分野を学習するときは、以下の手順で進めるとスムーズです。

  1. 簡単なものに着手し、全体像を掴む
  2. 詳細を把握し、知識不足の穴を埋める

以下、それぞれの教材を手軽さと実用性の観点から主観的に評価しています(なんとなく目安にしていただくため)。

手軽さが高いものから着手していき、慣れれば実用性が高いものに挑戦していくと挫折せずに学習を進められるかと思います。

動画・音声

ドットインストール|C言語入門

手軽さ:★★★★★

実用性:★★☆☆☆

3分程度の動画でプログラミングを学習できるサイトのC言語入門編です。敷居が低い上に主要な概念を広く浅く学習できます。気軽にとっかかれるのでおすすめ。

 

一週間で身につくC/C++言語

手軽さ:★★★★☆

実用性:★★★☆☆

Udemyでベストセラーになっており、1583件の評価(星4.3、2021/06/21現在)がされているC言語の音声教材です。ドットインストールより一歩踏み込んで理解を深めたいタイミングで利用するといいかと。

また、Udemyはプレビューで教材の中の一部の動画をみれるので、直感的に理解しやすそうなものを選ぶとギャップが少ないかと思います。

上記を試した結果、私は一週間で身につくC/C++言語が続きそうだと思いました。

 

paizaラーニングC言語入門編

手軽さ:★★★☆☆

実用性:★★★★☆

上記の音声教材は基本的に見るだけでしたが、paizaラーニングC言語入門編には演習課題がついているため、動画で学習をし、コードを書いて覚える、という流れで勉強を進められます。分量が充実しているため、多少ハードルはあがるものの、個人的には使ってよかった教材の上位の方です。

 

サイト

一週間で身につくC言語の基本

手軽さ:★★★★☆

実用性:★★★☆☆

先ほどでてきたUdemy講座のサイト版。取っ付きやすい上に主要概念が網羅されているため、序盤の学習に最適。

 

初心者のためのポイント学習C言語

手軽さ:★★★★☆

実用性:★★★☆☆

同様に、初学者向けのサイト。一週間で身につくC言語の基本と比べてみて、フィット感のある方を採用するといいかと。もちろん両方やるのもありです。

 

苦しんで覚えるC言語

手軽さ:★★★☆☆

実用性:★★★★☆

上記2サイトよりもやや難易度は上がる印象。ただ、説明が細かく丁寧なため、いままで何となく理解していたものの理解を深めるのに役に立ちました。

他の方のサイトに「piscine参加者には苦しんで覚えるC言語を学習している人がおおい」といった旨の記載がありましたが、私もその通りだと思いました。

学習している人が多いということは不明点を質問しやすいということなので、有力な教材と考えます。

紙でもキンドルでも好きな方でいいと思うのですが、私はすべてKindleで買いました。紙の場合は、PC→本→PCと、目線の移動距離が長いため、地味に集中力が削られる印象。

(kindleとエディタの画面を横に並べて表示するととても見やすい)

 

スッキリわかるC言語入門 第2版

手軽さ:★★★★☆

実用性:★★★☆☆

書籍で学習したい初学者に最初におすすめの1冊。イラストが見やすく、C言語のイメージを掴みやすいと思いました。

 

苦しんで覚えるC言語

手軽さ:★★★☆☆

実用性:★★★★☆

先ほどご紹介したサイト、苦しんで覚えるC言語の書籍版。サイトでも十分情報が網羅されているため、個人的にはサイトで十分かとおもいますが、書籍を買っていた方も多かったので一応ご紹介します。

 

新・明解C言語 入門編 第2版

手軽さ:★★☆☆☆

実用性:★★★★★

総仕上げ的な本。結構詳細に書いてあるので、ここまでお伝えした教材を理解したうえで、余力があればトライするといいかもしれません(苦Cあたりまででもいいかもしれません)。

総仕上げ

新・解きながら学ぶC言語 第2版

手軽さ:★☆☆☆☆

実用性:★★★★★★

上記の教材は基本的にすべてインプットがメインのものでした。ただ、コードを書かないことには、プログラミングを習得するのは難しいだろうと思います。

上記の教材を一通り学習した後問題集を探していた時に見つけた一冊が、新・解きながら学ぶC言語 Kindle版です。

選定理由は…

  1. 問題数が圧倒的に多い(プログラム作成問題179問、錬成問題1249問)
  2. 回答がある(他の教材は回答がないもの、有料でないと回答がみれないもの、などがあり不便)
  3. 解説が丁寧(重要)

私の場合は、コードを書かないままpiscineを迎えるのが不安だったのでこちらの教材を最後に解きましたが、この問題集をやったんだ、と思うと安心感が半端ではありませんでした

全問を解く必要はないので、主要な問題や回答する自信がない問題は解いておくといいでしょう。難しすぎる問題はスルーでいいと思います。

無料にこだわるならKindle Unlimitedも優秀

お金をなるべく払いたくない方はKindle Unlimitedをのぞいてみるといいかもしれません。

Kindle Unlimitedには最新の本が少ないのでトレンドになっているトピックを勉強したい方には不向きですが、C言語は昔からあるので基礎を学ぶだけであればKindle Unlimitedの品揃えだけでも十分かもしれません(Kindle UnlimitedでC言語と検索すると、2,000件ヒットしました)。

無料なので、合わなければ読むのをやめる選択をしやすいのもポイントかと。

良さげな本はたとえば…

Cに限らず、新しい知識を学ぶ際に無料で使えるので、贅沢な検索エンジンとして私も使っています。

30日間は無料なので、piscineが終わった段階で解約するとコスパがいいかと。

【42tokyo】piscine対策④ 挫折・メンタル対策

小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道

イチロー

Piscineは4週間の試験ですので、毎日安定して生産性を発揮し続けることが重要です。

長期戦の場合は、以下①の方針を採用した方が合理的かと思います。

  1. 70%の力でいいので、毎日決まった時間確実にコードを書く
  2. 1日2日の間120%の力を出し、そのあとしばらく燃え尽きる

①を実行するには、最悪のケースを想定して事前に対策を講じる必要があります。

補足:メンタルが弱りきってから慌てて対策を考えても、ネガティブな事ばかり思いつくのがオチです。健康なうちに対策を考えるのがメンタルコントロールの基本です。

挫折を想定して個人的に用意していた対策を晒しますので、使えそうな箇所は取り入れていただくなり、アレンジしていただくなりしてくださいまし。

  1. なんてこった効果を発動しない
  2. 進捗が遅れる前提で対策するべし
  3. 物事を継続するために必要な3つの柱とは
  4. 上手な休息の仕方を考えるべし
  5. 食事・サプリを選ぶ

なんてこった効果を発動しない

例えばダイエット中に、食べないと決めていたケーキを食べてしまい「自分はなんて意思力が弱いんだ、ダイエットなんてもうやめてやる」となることがあります。

このように、思ったように物事がすすまない時に、失敗したストレスや罪悪感から、目標を投げ出してしまうことをなんてこった効果(what the hell effect)といいます。

客観的に考えれば、1時間で書くはずだったコードに6時間かかったとしても、不合格になるときまったわけではありません。なんてこった効果を理解しておけば、プログラミングに限らず挫折に強くなるように思います。

なげだしたくなったら、上で出てきたこの言葉を思い出してください。

たったひとつの敗北を、決定的な敗北と勘違いしてはいけない。

スコット・フィッツジェラルド

進捗が遅れる前提で対策するべし

フルコミット前提の試験なので、働きながら参加すると進捗に差が出るであろうことは予測できました。まわりより遅れていると感じると、ネガティブな思考に支配されることもあるかと思います。こうなったときを想定して対策をいくつか用意しておくと安心。質問できる仲間を作っておくとか。

物事を継続するために必要な3つの柱とは

挫折しないための対策はいろいろあるとおもうのですが、これも複数用意しておくと安定するかと。

たとえば…

  1. 習慣化:習慣化ができれば意思力も感情も不要で行動を継続できる(ただし習慣化には時間がかかる)
  2. 意思力:意思力があれば誘惑を断ち切れるが、意思力はすり減る(すり減らない説もある)
  3. 感情:一見コントロールしにくいが、意思力のようにすり減らない。使えば使うほど強くなる

上記のツールはそれぞれ長所と短所があるので、くみあわせて使いましょう。

特に最近は、「感情は問題解決のためのOS」のような説明をしている本もでてきています。感情をツールとして使いこなしたい方は調べると面白いかと

【参考書籍】

習慣化

短期間で〝よい習慣〟が身につき、人生が思い通りになる! 超習慣術

意思力

スタンフォードの自分を変える教室

WILLPOWER 意志力の科学

感情

なぜ「やる気」は長続きしないのか―心理学が教える感情と成功の意外な関係

上手な休息の仕方を考えるべし

いかに努力するかだけでなく、いかに休むかも考えるべきです。Piscine中は、真面目に取り組むほどPiscineのことが頭から離れなくなります。ただ、ずっとエンジン全開で走り続けることはできません。合理的に休む方法のストックは持っておくべきでしょう。

私の場合

疲れたら…

  • 散歩する
  • スクワットする
  • シャワーを浴びる
  • 顔を洗う
  • コーヒー・紅茶を淹れる
  • お香を焚く
  • アロマをつかう
  • 音楽をかける
  • 歌を歌う
  • ギャグをかます
  • 瞑想をする
  • 仮眠をする
  • 自然が多い場所にいく
  • 睡眠時間は7~9時間確保する(最重要)

上記のような、あまり頭を使わずぼーっとできるタスクが私の場合はフィットしました。何パターンか試してみて、疲れたり集中できなくなったりした時の休憩方法のレパートリーは用意しておくといいかと。

Piscine中は課題に注意が集中しているので、意図的に注意を散漫にできるといいと思います。

上記の中でも特に睡眠が重要です。piscine中は極限状態が4週間続くため、神経がたかぶって寝れなくなることが予想されます。どんな状況でも熟睡できる技術を事前に学び身につけておくといいかもしれません。

【参考書籍】

睡眠こそ最強の解決策である

超ストレス解消法 イライラが一瞬で消える100の科学的メソッド

想定される挫折と対策のリストを作ろう

問題が起きてから悩むのではなく、さきに挫折を予測しておいてからことに当たるのがメンタル対策の基本。不安がある場合は、たとえば以下のように不安と対策をリスト化しておくと、冷静に対応できるかもしれません(woopやコーピングレパートリーなどでググってみてください)。

不安・懸念 対策(ちゃんといいのを調べること)
睡眠不足が続いたらどうしよう 多層性睡眠を試してみよう
夜寝れなかったらどうしよう 20時にはPCを閉じて、メラトニンを摂取して、シャワーを浴びて、布団に入ろう
思ったように進捗が進まなかったらどうしよう 質問できる人を5人作っておこう
勉強したくない気分になったらどうしよう 散歩しよう
集中できなかったらどうしよう 寝るか散歩するかシャワーをあびるかetc
問題が難しかったらどうしよう とばして他の問題をやろう
急に仕事が入ったらどうしよう とりあえず対応して別の日に時間を確保しよう
etc etc

やってみたらわかるのですが、リストを作るだけでも漠然とした不安が減るのでストレスが低減しますし、問題が起きても焦りにくくなります(もちろん個人差があります)。

食事・サプリを選ぶ

尊敬するパレオさんのブログを参考にpiscine中は(普段からですが)以下の食材を偏りすぎないようにとっていました。

食事

  • 野菜:毎食絶対食べていた
  • 魚:サバが安くてDHA/EPAが豊富でよき
  • 卵:最初の食事で4つ食べていた(太りにくい)
  • 果物:片手に収まるぐらい/1d
  • ナッツ系:手のひらに収まるぐらい/1d
  • 発酵食品:食物繊維と共に摂取で腸内環境良好に

※加工食品はなるべく食べない

サプリ(piscine中に不足しそうなものを補う目的&普段から使っていて気に入っているもの)

(パレオさんのブログはもっとちゃんとしたことが書いてあります。今回はあくまでpiscine対策の記事ですので、かなり簡略化して書いてます)

余談なのですが、食事をちゃんとしたらマジで太らない体になりました。加えて体脂肪率が下がれば体内の炎症が減りますので、ストレスが減っているのが実感でわかります。

おまけ:piscine後に起きた変化

この辺は参加者の特性や運によってばらつきが大きくなる箇所なので話半分に聞いてください。

仲間が増えた

協力して困難を乗り越えたらそりゃなかよくもなりますよね。部活動で一緒に頑張った歴戦の戦友を、短期間で得たようなイメージです。

私のイメージですが、piscineで最後まで泳ぎ切る人は、まだ世間に見つけられていないものの、ハングリー精神が尋常でなかったり、頭が異常にキレッキレだったりする人が多かったように思います。

Piscine終盤に差し掛かった頃は、みんなの顔つきもかわってくるんですよね。

(この辺のバチバチ火花散ってる感じはぜひ体験して欲しい)

この記事で事前対策について散々書きましたが、正直piscineを泳ぎ切る上では仲間の存在はかなり大きかったと思います。

プライベートが充実した

私はもともと社交的ではなく、どちらかというと付き合う人間を選ぶタイプなので、友達の数自体は多くありません。

しかしPiscineではストイックに頑張っている人や穏やかな表情の下に反骨精神を隠し持っている人によく遭遇しました。

ギャグセンスがあう(重要)のでプライベートで遊ぶこともあります。気の合う友達がこの歳になって増えたのはモーゼが海を割るように衝撃でしたね。

ハマる人にはすごくハマる空間なんじゃないかなと思います。

雰囲気が変わったと言われるようになった

Piscine前の知り合いと会った時に大体言われます。修羅場を一つ潜って私も成長できたということでしょうか。

42のすごいところは、コーディングだけでなく、エンジニアに必要なソフトスキルが身につく点です。時間がない立場上、ひととの関わり方については相当頭と気をつかいました。正直ここで得たソフトスキルが仕事でも波及効果を及ぼしている感すらあります。

コードが読める・書ける

Piscine前にはできなかったあんなことやこんなことができるようになります。応用力が身につくのはデカい。

ただ、体感的には自分もまだまだ初心者のように思います。Piscineはあくまではじまりにすぎません。

本気でエンジニアを志すのであれば、本科生になった後にどのように学習を続けるのか、検討できるといいかもしれません。

集中力がついた

Piscineがおわっても生活習慣を変えていないので、午前中から勉強や仕事がガンガン進みます。

最後に免責事項てきなやつ+α

客観的事実ではなく1サンプルとしてお考えください

当記事の内容はあくまでわたしはこうやってpiscineに合格したよ、という話であり、結果を保証するものではありません。

特にpiscineは合格基準が不明のため、プログラミングスキル以外の何かを計測または観察している可能性があります(おそらく調べても出てこない)。

ただ、piscine攻略のヒントを、試験参加者にしかわからないよう、暗号文のように記事の随所に散りばめました。あとはご自身で掴み取ってください。

課題の内容は書いてません

42tokyoの利用規約を遵守し、課題や試験の様子など、42tokyo内部の情報の一切を公開しません。

スタッフの方へ、万一当記事の内容に問題があった場合、大変お手数ですが、問い合わせフォームより該当箇所をご教示くださいませ。該当箇所を修正いたします。

Piscineを受験される方・した方へ

皆様のお声をもとに、今後もこの記事の情報をアップデートしていく予定です。

当記事での事前対策の方法につきまして、「ここをもう少し詳しく知りたい」というご希望などございましたら、twitter@Pischi_RockstarにDMを飛ばしてください(返信はお約束できませんが、すべて確認しています)。

【ご回答する可能性が高いもの】

  • 当記事における事前対策方法の詳細・疑問について(受験者向け)
  • おすすめの教材・勉強法(プログラミングご経験者の方、ご教示ください)
  • 有益だったpiscine対策(「私はこうやって合格したよ」というお話をお伺いしたいです)

【ご回答が難しいもの】

  • 試験の内容など42の利用規約に反する質問
  • コードのレビュー(申し訳ないですが、現在仕事の関係でレビューの時間を確保しにくい状況でございます)

Piscineでたたかう後続の仲間達に向けて、みなさんと一緒に有益な手掛かりを残していければと考えています。

謝辞

4週間に渡って素晴らしい体験をさせていただいた42tokyoスタッフの皆様、本当にありがとうございました。少人数にも関わらず、緊急時にも迅速にご対応いただき、感謝がつきません。コーディングだけではなく人間的にも急成長できた4週間でした。

そして一緒に戦ってくれた仲間たち、本当にいろいろなことがありましたが、みなさんと一緒に泳げた4週間は一生の思い出です。みなさんがいなければとうにpicsineのもくずでした。ありがとうございました。